福岡大学理学部同窓会

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林 政彦 先生(地球圏科学科 地球物理学)

1. 福岡大学理学部の魅力
理学部は特に、実験とか、実際に物を触るとか、自分で作り出すとかいったところに重点を置いているのが特徴で、そういったカリキュラムは魅力の一つではないかなと思います。今、社会全体がバーチャル等に目が向きがちな中、実際に自然を相手にすることに重点を置くことは非常に大切なことだと思いますね。また、これは福岡大学の魅力ですが、サークルなどで他学部の人たちとも繋がりが持てるということも魅力の一つではないかな。

2.地球圏科学科の特色(他学科にはないもの)
我々は外に出ていってサンプルを取ってくる、あるいは気球をあげてデータを取ってくる、その後研究室で分析やデータ解析をするということをしていますが、そういった外へ出て観測をする、野外観測というのが特色じゃないかなと思っています。大元のデータを「フィールド」という言い方をしますけど、そんなところにいって取ってくるということは僕自身大好きですし、地球圏の魅力として売り出したいところです。

3.林先生の研究内容
空気中にはたくさんの微粒子が浮かんでいて、身近な話題でいうとPM2.5 あるいは黄砂ですね。そういった微粒子は地球の大気中どこにでもあるんですよね。私たちはそれをいろんな所に行ってサンプルをとってきて研究しています。空気中の微粒子は大気の中の環境変動などに非常に大きな役割を果たしているとわかっていて、例えば、オゾンホールや、酸性雨の原因になっているんです。そのほかにも、PM2.5や黄砂など健康への影響についても最近研究し始めましたね。こういった微粒子の観測方法は主に2通りあるんですけど、一つは気球を飛ばしたり、小型の無人飛行機を飛ばしたりしてその場に行って観測をして上空の様子を探るというのです。もう一つはリモートセンサーでの遠隔測定で、例えば地上からレーザー光を射出すると空気中の微粒子がそこに当たって反射する、要するに光の散乱を観測しているわけです。そんな風にして、その場の微粒子の数や大きさ、それからサンプルを取ってきて化学成分の分析をし、どんな微粒子がどれくらい飛んでいて、それがどう変化しているのか、なぜ変わるのか、その変化がオゾンや酸性雨、健康に対してどのような影響を与えているのか、ということを研究しています。

4.林先生の大学時代
私は実は学部時代、工学部の航空学科に所属していて、飛行機やロケット、航空宇宙システムなどそちら側を作る方を勉強していたんです。でも、飛行機は軍事の最先端に使われます。本当にそれで良いのかなと考え始めていました。同時に、環境問題や温暖化が騒がれ始めた時代でもあったのです。地球のことをちゃんと理解しなければ技術や科学が人間との幸せに結びつかない、と思い大学院から理学研究科の方に進むことにしました。大気水圏科学専攻という研究所の地球の大気や海や湖などの研究をする大学院に進学しました。その時点から空気中の微粒子の研究を始めました。

5.同窓生に向けて一言
大学で勉強したことの良さっていうのは、多分卒業してから何年も経ってからわかることと思います。その時に理学部で勉強してよかったなと思っていてくれたら嬉しいですね。理学部の何が良かったというのは人それぞれ違うだろうと思うので、自分なりに感じてもらって、できたらそれを後輩に伝えていってほしいなと思います。

6.在学生に向けて一言
あんまりガチガチの勉強をしなくてもいいと思います。自分の興味を持ってほしいなと思います。今も4年生を指導していて思うのは、言われたことをやっていればそれでおしまいのような雰囲気があるので、先生とぶつかってでもいいから自分の気持ちで前に進んでほしいです。あとは、専門だけじゃなくて他にも色々と勉強して、その中でやっぱり自分らしさを持っていってほしいなと思います。

7.高校生に向けて一言
環境問題を一つ解決しようとするといろんな分野の人が最終的には関わらないといけない。それぞれやっぱり自分に向き不向きもあるだろうし興味もあるので、地球や自然などのシステムについて興味があったり、興味を持てそうだったら是非理学部へ来てほしいですね。僕はそういう人がもっと増えてほしいなと思っていて、純粋に理科が面白いなと思って興味を持ってくれる人が来てくれると嬉しいです。

8.同窓生との繋がりをどのように在学生に活かしたいか
学生さん達は多分将来に対する不安が大きいと思うんですけど、ホームページを通して、在学生がこんな風に思っているとかこんなことを知りたいと思っているとかが、卒業生に伝わっていくと、じゃあこんな話でもしに行こうかな、というような繋がりができるんじゃないかなと思います。今現役でバリバリやっていり人たちってなかなか余裕もないので、在学生の方から自発的に発信することが大事なんじゃないかと思います。

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